研究概要 |
胎児性胆汁酸生合成経路と先天性代謝異常症における胆汁酸生合成経路の解明を明らかにする目的で以下の項目を研究目的として研究を遂行した. 1) 胎児性胆汁酸生合成における中間体標品の合成 2) 上記標品を用いて,的確な生合成中間体分析法(GC,GC/MS,HPLC)の開発を行い,合成標品を基質として肝(胆汁酸生合成関連酵素)の代謝産物の解析を行い,生合成機構を解明する. 3) 確立した上記分析法を用いて各種先天性代謝異常症における胆汁酸組成を明らかにし,同時に簡便な代謝異常症の診断法への応用を検討する. 前年度の結果を基に今年度は以下の研究を実施した. 1) 生合成中間体分析法の開発 ヒト体液中に微量に存在する胆汁酸生合成中間体の量論的研究を進める上で,前年度に合成した標品を用いて.より信頼性のある胆汁酸生合成中間体の分析法の開発を行った.胆汁酸生合成中間体は立体異性体が存在するので,それらの分離を可能とする高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析法の開発,また,生合成における活性中間体であるコエンザイムAエステルの標品を合成し,HPLCによるその直接的な分析法の開発を行った. 2) 先天性代謝異常症における生合成機構の解明 各種胆汁酸生合成中間体標品を用いてラット肝を酵素源として関連酵素の特異性(基質,立体特異性)について上記で確立した各種分析法を用いて検討した.次いで,胆汁酸生合成異常症あるいは代謝異常症患者体液(尿.血液)中の胆汁酸組成を分析し,上記疾患に特異な胆汁酸あるいは生合成中間体の存在の有無を検討し,病態解析へと応用した.
|