1.Al(III)などの金属キレート触媒の化学モデルにおいて光学活性アルジミンからのキノノイド生成を紫外部吸収とともに、旋光度、NMR測定により動力学的に追跡した。キノノイドは一般に不安定であるが、Al(III)および同族体の3価金属キレートの形で準安定となった。アミノ酸よりアミノ酸エステル、アミノ酸アミドのようにカルボン酸が誘導体化された場合がキノノイドキレートは安定であった。また、種々の光学活性アルジミンのAl(III)キレート化とキノノイド生成段階の反応の旋光度による動力学的測定の結果、α-プロトンの脱離とキノノイド中間体生成反応の関係が明らかとなった。Al(III)キレートは分析用HPLCによる分離に成功した。これよりAl(III)キレート生成の機構を解明し発表した。 2.ピロロキノリンキノン(PQQ)および類似のフェナントロリンキノンとピリドキサミンからキノノイド吸収を持つ結晶を単離した。これは金属キレートでない最初のキノノイドモデルであり、酸素が存在する場合はピリドキサールを生成することから、PQQによるアミンオキシダーゼのモデルと考えることもできる。これらの結晶によりキノノイド構造を研究し発表した。 3.キノノイドは1.に示したように不安定であるが、Al(III)および同族体の3価金属キレートの形でのみ準安定となった。2価のCu(II)キレートは非常に不安定であったが、ジピリジン、ターピリジンなどとの混合3元配位子錯体とするとやや長寿命になった。この構造と反応機構を解明した。
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