研究概要 |
不安定な複数のフリーラジカルを検出するために分離分析法であるHPLC法の検出器としてESRを接続し、ラジカルクロマトグラフィーを構築した。指標ラジカルにOHラジカル、スーパーオキシドアニオン、メチルラジカルを選択し、化学的な生成系を検討した。これらラジカルを5,5-dimethyl-1-pyrroline-N-oxide(DMP0)、N-t-butyl-α-phenylnitrone(PBN)をスピントラッピング剤として用い、安定なアダクトに変換した。安定なラジカルを逆相分配クロマトグラジ-で相互分離した後、ESRで直接フリーラジカルを検出するシステムを確立した(日本薬学会第117年会、FIP'97(バンクーバー)、日本分析化学会第46年会にて発表)。さらに、このラジカルクロマトグラフィーの応用として生活関連化学物質の光照射によるフリーラジカル生成を検出するために、オンライン光照射システムを構築した。本システムを合成タール系食用色素の光安定性評価に適用した結果、赤色104号(phloxine)が紫外線照射により化学発光を呈し、この光化学反応にはフリーラジカルが関与することをESRを検出器としたラジカルクロマトグラフィーで確認した(J.Agric.Food Chem., 45, 4525(1997))。
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