研究概要 |
われわれは一昨年世界で初めて常温でマイナーグルーブにはいるポリアミンを発見しそのポリアミンN,N'-bis(2-aminoethyl)-1,2-ethanediamine,NH_2-(CH_2)_2-NH-(CH_2)_2-NH-(CH_2)_2-NH_2[PA(222)]とd(CG)_3との複合体結晶のX-線結晶構造解析に世界で初めて成功した.(Nucleosides & Nucleotides 18,(1999)in press(MS 319),詳報投稿準備中)また、この成果をThirteenth Round Table for Nucleosides,Nucleotides and Their Biological Applications(France,Montpelier 1998)においてCrystal Structure of a Lefh-handed Z-DNA Hexamer,d(CG)_3,Duplex Complexed with Synthetic Polyamine Reveals Binding of a Polyamine in the Minor Grooveという演題で発表を行った.現在、われわれは合成ポリアミンおよび生体内に存在するポリアミンでZ-DNAのマイナーグループにはいると考えられるポリアミンを数種類発見しd(CG)_3との結晶化を試みている.これらをすべて解析することによって左巻きZ-DNAを安定化する物質の発見とZ-DNAによって引き起こされる遺伝病の解明を行うことができると予想される.またわれわれはZ-DNAの安定化機構、B-Z転移機構、B-DNA安定化機構をコンピュータを用いて解析を行っているが今回Z-DNAの安定化機構がカウンターカチオンの原子半径に依存することを世界で初めて明らかにした.またポリアミンのZ-DNAに対する安定化の寄与を解析に成功した.(Nucleosides & Nucleotides 18,(1999)in press(MS 320)、詳報投稿準備中)これらの成果もThirteenth Round Table for Nucleosides,Nucleotides and Their Biological Applications(France,Montpellier 1998)においてThe Computational Studies on the Conformation-stabilizing Factors of the left-handed Z-DNAという演題で発表した.現在B-DNAの安定化機構がコンピュータを用いて計算によってわかりつつある.今後B-Z転移機構の解析を行い最終的にはB-Z転移、Z-B転移を生体内で起こすことによってこれらに関与する病気に対する応用に発展させる予定である.
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