研究概要 |
茶に含まれる成分のうち発がん抑制効果にはカテキン類が大きく関与すると考えられている。緑茶カテキンの主成分であるエピガロカテキンガレート(EGCG)の(ベンゾ[a]ピレン)B[a]Pによる発がんのイニシエーション段階に対する抑制効果を、in vivoで突然変異を検出できる簡便な方法として、大腸菌rpsL遺伝子を突然変異検出のモニター遺伝子として導入したトランスジェニックマウス(HITECマウス)を使用して検討した。 HITECマウス各臓器における変異発生頻度を解析し、B[a]Pの投与により、肺で対照群の約4倍に、胃では約4倍、脾臓では約5倍それぞれ変異頻度の上昇が認められた。これに対し0.05%EGCGを与え、B[a]Pを投与した群での変異頻度は、肺で4.7±1.8×10^<-5>、胃で10.0±7.1×10^<-5>、脾臓で11.8±1.4×10^<-5>であり、EGCGを与えなかった群に対しB[a]Pによる変異が肺で有意に抑制されていた(p<0.05)。0.001%EGCG投与では有意ではないが減少する傾向が認められた。 EGCGの投与が、B[a]P誘発突然変異のスペクトルにおよぼす影響を検討するために、各臓器でのB[a]P誘発突然変異のスペクトルを解析した。各変異の割合を調べたところ、いづれの臓器においてもB[a]Pの投与により、G:C→T:A、G:C→C:G、一塩基欠失、一塩基挿入の割合がコントロールに比べて増加していた。またグアニン残基が関与する変異の割合は肺で61%(37/60)、胃で81%(38/47)、脾臓で85%(35/41)であった。 EGCGによるB[a]P誘発変異抑制効果の認められた肺について、0.05%EGCG、0.005%EGCG投与の影響を調べた。各変異の割合を調べると、B[a]Pによる変異と考えられるG:C→C:Gが減少し、それに伴いA:T→C:G、A:T→G:Cがコーンオイル投与群に近い割合となることがわかった。しかし、G:C→T:Aの割合は減少しておらず、変異の種類によってEGCGの効果の程度が異なることが示唆された。詳しくは、Carcinogenesis,10:421-424(1999)を参照。
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