研究概要 |
Protein kinase C活性化薬であるTPA、あるいはendomembrane Ca^<2+>-ATPase阻害薬であるthapgarginでラット腹腔マクロファージを刺激すると、培養液中には血小板活性化因子(platelet-activating factor,PAF)は検出されないが、細胞内のPAFレベルが上昇すること、また、cyclooxygenase(COX)阻害薬により同時に産生されるPGE_2のレベルを低下させると、細胞内PAFのレベルが上昇することを明らかにしてきた。そこで、COX阻害薬により上昇する細胞内PAFの役割について薬理学的な解析を行った。 [1] CoA-independent transacylase阻害薬であるSK&F98625を共存させると、刺激により上昇する細胞内PAFレベルも培養液中のPGE_2レベルも、また培養液中のTNF-αレベルもSK&F98625の濃度に依存して低下した。[2]培養液中にPGE_2あるいはPAFを添加してSK&F98625によるPAF及びPGE_2産生抑制作用を打ち消しても、低下したTNF-α産生は回復しなかった。(Life Sciences,62(1998)297-302) [2] 刺激によるTNF-α産生亢進は、PAF受容体拮抗薬であるE6123、L-652,731あるいはCV-6209によって部分的に抑制され、これらの拮抗薬は細胞内に入り込み、細胞内のPAFの作用に対して拮抗し、それによってTNF-αの産生を抑制していることが推定された。(Eur.J.Pharmacol.投稿中、1999) [3] 刺激によりIκBの分解が亢進し、NFκBの活性化がおこることによりTNF-α産生亢進が誘導されることが明らかになったが、これらのPAF受容体拮抗薬は刺激によるIκBの分解亢進を抑制することが明らかになった。(投稿論文作成中) 以上の知見から、刺激により産生されるPAFは細胞内に留まり、TNF-α産生誘導に関与していることが強く示唆された。
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