研究概要 |
[1] Protein Kinase C活性化薬TPA、あるいはendomembrane Ca2+-ATPase阻害薬thapsigarginでラット腹腔マクロファージを刺激すると、細胞内の血小板活性化因子(platelet-activating factor,PAF)レベルは上昇し、培養液中にはPAFは検出されなかった。 [2] Cyclooxygenase(COX)阻害薬を添加して同時に産生されるPGE2のレベルを低下させると、細胞内PAFのレベルは上昇し、培養液中のTNF-αレベルも上昇した。 [3] CoA-independent transacylase 阻害薬 SK&F 98625を共存させると、刺激により上昇する細胞内PAFレベルも培養液中のPGE2レベルも、また培養液中のTNF-αレベルもSK&F 98625の濃度に依存して低下した。 [4] 培養液中にPGE2あるいはPAFを添加してSK&F 98625によるPAF及びPGE2産生抑制作用を打ち消しても、低下したTNF-α産生は回復しなかった。 [5] 刺激によるTNF-α産生亢進およびCOX阻害薬添加によるTNF-α産生増強は、PAF受容体拮抗薬であるE6123、L-652,731あるいはCV-6209によって部分的に抑制された。これらの拮抗薬は細胞内に入り込み細胞内のPAFの作用に拮抗し、それによってTNF-αの産生を抑制していることが示唆された。 [6] 刺激によりIkBの分解が亢進し、NF-kBの活性化が起こることによりTNF-α産生亢進が誘導されることが示唆された。また、PAF受容体拮抗薬は刺激によるIkBの分解亢進を抑制した。 以上の知見から、COX阻害剤はPGE2産生を抑制することによりPAF産生を亢進し、産生されたPAFは細胞内に留まり、NF-kBの活性化を介してTNF-α産生誘導に関与していることが強く示唆された。
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