1)GP125Light chain(LC)に対するモノクローナル抗体作製 抗GP125Heavy chain(HC)モノクローナル抗体のアフィニティークロマトグラフィーにて粗精製したGP125から、電気泳動によりHCとLCを分離し、精製LCタンパクをマウスに免役した。脾細胞とマウスミエローマ細胞を融合後、ハイブリドーマ分泌抗体の特異性をウエスタンブロットでスクリーニングした結果、LCの分子量に相当する40kDaタンパクを認識する2種類のモノクローナル抗体を得た。抗LCモノクローナル抗体による解析で、LCはHCと類似した組織分布を示すが、完全には一致しないこと、HCに結合しないLCも存在することが示された。 2)GP125-LCタンパクの支配遺伝子クローニング 抗LCモノクローナル抗体でヒトとラットのcDNAライブラリーをスクリーニングしたが、目的とするLC遺伝子の単離には至らなかった。そこで現在、マウスHC遺伝子をbaitとしたYeast 2-hybrid systemにてLCを含めたHC結合タンパクのスクリーニングを行っている。 3)ミュータントGP125-HC遺伝子による機能ドメインの解析 ヒトHCについては、細胞外領域を様々な長さで欠失した断片遺伝子を、ラットHCについては、HCタンパクに存在する2箇所のシステインの片方または両方をセリンに置換した変異遺伝子を構築し、マウス線維芽細胞にエレクトロポレーション法にて導入、独立した数種類のトランスフェクタンとクローンを樹立した。正常及びミュータントHC遺伝子トランスフェクタントの性状を比較検討した結果、細胞外領域により細胞悪性度が調節されていること、システインを介したHCとLCの会合が細胞悪性化に必要なことが明らかになった。
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