研究概要 |
2年目にあたる平成10年度は細胞発現系を用いる分子レベルでの調節機構の研究と,脊髄切片を用いて一次感覚神経終末におけるシナプス伝達に対する調節機構を調べる研究のそれぞれについて,以下のような成果を得た。 (1) 細胞発現系:ヒトcDNAライブラリより細胞内ループが欠失した2種類の新規N型カルシウムチャネルを発見し,この欠失変異体がalternative splicingによるものであることをRT-PCRを用いて示した。また,このチャネルをヒトβサブユニットとともにHEK細胞に発現させたところ,カルシウムチャネルとして機能することがわかった。このtruncatedformはチャネルの開口時定数,電位不活性化曲線,ωconotoxin GVIA感受性のいずれにおいても,全長N型チャネルとは異なる性質を示した。また,このように細胞内構造を欠くチャネルでもGタンパク質βγサブユニットの活性化による持続的抑制がかかること,また,その抑制が脱分極によって解除されることを見出した。 (2) 脊髄切片系:ラット後根付き脊髄スライスを作成し,人工脳脊髄液中にてBlindPatch-Clamp法を適用して後根刺激に対するEPSPを記録した。C線維からの人力を高頻度で反復し激した場合に起こる緩徐な脱分極応答に関して,GABA@@S2A@@E2受容体,GABA@@S2B@@E2受容体,セロトニン5-HT@@S21A@@E2受容体の刺激がこの脱分極を抑制することを見出し,後二者の抑制については,シナプス前性に起こるものであることを明らかにした。
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