研究課題/領域番号 |
09672223
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川嵜 伸子 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70077676)
|
研究分担者 |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学研究科, 教授 (50025706)
|
キーワード | マンナン結合タンパク質 / 動物レクチン / コレクチン / ヒト血清 / 遺伝子発現調節 / 遺伝子多型 / クリアランス / オプソニン |
研究概要 |
血清マンナン結合タンパク質(MBP)は、分子内にコラーゲン様構造をもち、マンノース、N-アセチルグルコサミンに特異的なC型動物レクチンである。MBPは補体系の活性化やオプソニン作用をもつ。小児科領域では、重篤な感染症、下痢、発育不全などの症状を示すオプソニン不全症とMBPの関係が注目されている。これらの小児では、MBP遺伝子中の点突然変異のためMBPの正常なオリゴマーが形成されず、さらに、MBPの血中濃度が非常に低いことが明らかになっている。本年度は血清レクチンの発現調節機構解明の一環として、オプソニン不全症とMBPとの関係を明らかにするために、正常型および変異型MBPの代謝的安定性について検討した。 ヒト野生型および変異型MBPをワクシニアウイルス発現系により合成し、精製した。これを^<125>I放射標識したのち、マウスに静脈内投与し、一定時間ごとにマウス血中に存在する放射活性を測定した。その結果、正常型MBPの半減期は6.3時間、変異型の半減期は3.5時間と算出された。すなわち、変異型MBPでは、そのオリゴマータイプが小さいために、より早く血中から消失し、代謝されることが分かった。この知見は、オプソニン不全症の小児では、MBPの血中濃度が低いという調査結果とよく一致していた。 次に、ヒトMBPのプロモーター上の遺伝的多型について研究を行った。近年、ヒトMBP遺伝子のexon1上流に遺伝的多型が2箇所あり、その塩基配列の組み合わせにより、HY、LY、LXの3種類に分類できることが報告されている。さらに、HYの配列をもつヒトでは血清中のMBP濃度が高く、LYでは中くらい、LXでは低いことが明らかとなった。そこでHY、LY、LXの3種類の塩基配列を持つ変異体を作成し、そのプロモーター活性を測定すると、それぞれ高い、中くらい、低い活性を示した。つまり、MBP遺伝子の転写レベルが血清中のMBP濃度を左右することが示唆された。
|