研究概要 |
報告者らは本来一酸化窒素合成酵素(NO)が存在しない血管平滑筋において,NOSが新規に合成されることを初めて見いだし,その後の研究によりこのNOSを発現する引き金はエンドトキシン(LPS)であることが判明した。本年度の研究においては,まずLPSによるiNOS誘導の多くの部分が内因性インターロイキン(IL-1)の発現を介したものであることを明らかにした。従って,final mediatorとして考えられるIL-1によるiNOS誘導機構を特にprotein kinase C(PKC)の観点から検討を行った。PKCはconventional,novel,atypicalの3種の亜群に分類されるが,まず各群を選択的に阻害する薬物を使用して,どの亜群のPKCがiNOS誘導に関与するかをiNOS mRNA及びNitrite産生を測定することにより検討した。その結果,iNOS遺伝子の発現には主としてnovel typeのPKCが重要な役割を果たしていることを初めて明らかにすることができた。現在は引き続いて,novel PKCはδ,ε,η,θなどのisozymesにより構成されるが、これらのうちどのタイプの酵素が重要であるかをantisense oligonucleotide法によるenzyme knockout法により明らかにするための予備検討を行っている。すなわち,全PKC isozymesのmRNA測定をできるようにし,さらに全PKC isozymeタンパクのWestern blotによる検出のための条件を設定中である。
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