研究課題/領域番号 |
09672245
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
田元 浩一 北海道医療大学, 薬学部, 助教授 (50088861)
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研究分担者 |
野地 裕美 北海道医療大学, 薬学部, 助手 (30183552)
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キーワード | 慢性関節リウマチ / 滑膜細胞 / 線維芽細胞 / ヒアルロン酸 / ヒアルロン酸レセプター / プロスタグランジンE2 / シクロオキシゲナーゼ2 / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
慢性関節リウマチ患者の関節滑膜細胞(RASC)と正常ヒト線維芽細胞(HDF)におけるヒアルロン酸(HA)レセプターの生化学的性質やHAレセプターを介するシグナリングの性質を明らかにする目的で、研究計画を遂行して以下の成績を得た。 (1)HAレセプターの性質の解析:HAを結合したSepharoseを用いるアフィニティークロマトグラフィーで、RASCやHDFの可溶化液からHAレセプターを分離し、両細胞には60-65kDaおよび100-110kDaの膜蛋白質をはじめとした種々の分子量の膜蛋白質がHAレセプターとして存在することを認めた。これらのHAレセプターは、生理的条件下でCa^<2+>やMg^<2+>などの2価金属イオンに依存しないでHAと結合することを認めた。(2)HAレセプターの分離精製とHAレセプターに対する抗体の作製:両細胞から分子量の似かよった多様な分子種の膜蛋白質がHAレセプターとして分離されたので、多量の細胞を容易に得やすいHDFからHA結合タンパク質を分離し、マウスに免疫して単クローン抗体を作成した。7種類の抗体はいずれも、RASCやHDF上の分子量45-70kDaの5種の膜蛋白質や100kDa以上の複数の膜蛋白質が複合体となったHAレセプターに特異的に結合した。1種類の抗体はCD44と考えられる95kDaの膜蛋白質と結合した。(3)シクロオキシゲナーゼの発現に及ぼすHAの影響:RASCは未刺激でも自発的にPGE_2を生成し、IL-1刺激で生成量はさらに増大したが、いずれのPGE_2生成応答も高分子量HAで抑制され、低分子量HAオリゴマーは細胞を刺激してPGE_2生成を誘発した。これとよく対応して、RASCにおける自発的あるいはIL-1誘発シクロオキシゲナーゼ2(COX2)発現量は高分子量HA存在下で低下するが、低分子量HAオリゴマーはCOX2の発現量を増大させることを見いだした。したがって、遺伝子の転写・翻訳の段階を正と負に調節するシグナルがHAレセプターを介して生じると考えられる。
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