PNP14がin vitroにおいてEGF受容体およびpp60^<v-src>によりチロシンリン酸化されること、および解糖系酵素の鍵酵素であるGAPDHと結合することをすでに明らかにしている。そこで、PNP14ファミリーのcDNAをsite direct mutagenesisにより部位特異的変異体を作製し、大腸菌内に発現した変異体を基質に用いてチロシンリン酸化部位を決定すること、およびdeletion mutantを調製し、GAPDHへの結合部位を決定することを目的として行った。 その結果、PNP14のチロシンリン酸化部位が127Tyrであることを明かにした。また、SYN1がチロシンリン酸化されることを初めて示し、そのリン酸化部位が133Tyrである可能性について示した。これらの知見は、生理的条件下における両タンパク質のチロシンリン酸化反応の解析に有用である。 PNP14、SYN1の結合タンパク質であるGAPDHへの結合に、PNP14、SYN1分子内のDomain IIIが関与していることを明らかにした。さらに、GAPDHの標的が両タンパク質のDomain IIIに存在するKKE(D)X_<3-6>KXEE配列であることを示した。 また、機能未知タンパク質の生理的機能を明らかにするためには、動物の個体レベルにおいて、遺伝子を欠失させることにより認められる表現型を解析する方法、あるいは逆に目的遺伝子を過剰発現させることにより認められる表現型を解析する方法が非常に有用である。本研究では、PNP14ファミリータンパク質の生体内における機能を明らかにする目的で、PNP14遺伝子およびSYN1遺伝子トランスジェニックマウスの作製を試みた。その結果、PNP14、およびSYNl遺伝子トランスジェニックマウスを作製することができたが、表現型の詳細については現在、解析中である。
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