ラット脳を用いて、加齢によるPNP14mRNAの発現変化をin situハイブリダイゼーション法により解析し、生後7週齢ラット脳でのmRNAの発現は嗅球、海馬歯状回、海馬CA1、小脳において高いことを明らかにした。これらの部位において、生後7週齢、1年齢、2年齢について調べた結果、いずれの部位においても、加齢に伴ってPNP14mRNA発現が低下傾向にあることを示した。同様の結果がノーザンブロット解析によっても示された。また、受精後14日、16日の胎児脳でのPNP 14mRNA発現はほとんど認められなかった。また、タンパク質レベルにおける発現量の変動は、生後間もなくは発現量は低いが、3-7週齢まで著明に増加した。1年齢、2年齢では海馬において著しく低下し、小脳では低下傾向が認められたが、嗅球では有意な変化は認められなかった。以上の結果から、PNP 14は中枢神経系においてそのmRNA、およびタンパク質共に生後から発現量が増加し始め、1年齢以降加齢に従って低下することを明らかにした。 PNP14のチロシンリン酸化部位が127Tyrであることを明かにした。また、SYN1がチロシンリン酸化されることを初めて示し、そのリン酸化部位が133Tyrである可能性について示した。これらの知見は、生理的条件下における両タンパク質のチロシンリン酸化反応の解析に有用である。 PNP14、SYN1の結合タンパク質であるGAPDHへの結合に、PNP14、SYN1分子内のDomain IIIが関与していることを明らかにした。さらに、GAPDHの標的が両タンパク質のDomain IIIに存在するKKE(D)X_<3-6>KXEE配列であることを示した。 また、PNP14、およびSYN1遺伝子トランスジェニックマウスを作製した。表現型の詳細については現在、解析中である。
|