研究概要 |
培養ウシ網膜周皮細胞が産生するプロテオグリカンの特性を調査し,以下の新知見を得た。 1.周皮細胞が産生するプロテオグリカンコア蛋白 周皮細胞が産生するプロテオグリカンコア蛋白を[^<35>S]アミノ酸で代謝標識後SDS-PAGEによって分析したところ,この細胞腫がヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)分子種としてはパールカンおよびシンデカン-1を,コンドロイチン/デルマタン硫酸プロテオグリカン(CS/DSPG)分子種としては、PG-M/バ-シカン,ビグリカンおよびデコリンを産生していることが推定され,Western blot分析によって同定された。各分子種のコア蛋白遺伝子が発現されていることをRT-PCRで確認した。 2.周皮細胞が産生するプロテオグリカンの特性 [^<35>S]硫酸でプロテオグリカン分子のグリコサミノグリカンを代謝標識し,非会合条件下で抽出後DEAE-Sephacelカラムによって分離し,放射活性を3つのピークに分離できたので,これを荷電密度の低い方からI,IIおよびIIIとした。主要産物はIIおよびIIIであったが,特にIIおよびIIIは活発に産生されていた。そこで,IIおよびIIIにふくまれるコア蛋白を分析したところ,IIは主として小型CS/DSPG分子種ビグリカンおよびデコリンを,IIIは大型CS/DSPG分子種PG-M/バ-シカンを含んでいることが示された。次に,IIおよびIIIをSepharose CL-4Bでゲルろ過し,高分子量型および低分子量型サブクラスに分離した。それぞれのサブクラスに含まれるコア蛋白を分析し,高分子量型サブクラスがPG-M/バ-シカン,低分子量型サブクラスがビグリカンおよびデコリンから成ることを確認した。また,グリコサミノグリカンをSepharose CL-6Bカラムで分析し,Iがヘパラン硫酸を,IIおよびIIIがコンドロイチン/デルマタン硫酸を結合していることが分かった。グリコサミノグリカンの分子量は,いずれも45kDaであった。 以上の結果は,周皮細胞が産生するプロテオグリカンの特性が内皮細胞よりも血管平滑筋細胞に類似していることを示していた。しかしながら,その産生調節については今後の課題である。
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