研究概要 |
1.HFの全一次構造および三次構造の解析 Vipera aspis毒から精製したHFの全一次構造を,アミノ酸配列分析,マススペクトル(ESI-MS)により決定した.HFは分子量25,072.1のアミノ酸220残基からなるhomodimerで,N末端はピログルタミル化されていた.またHis(62)がTrpに置換したアイソザイムが存在することが明らかとなった.VEGFとの一次構造の比較では相同性は約50%で,Cysの位置は完全に保存されていたことから,monomer分子内に3ヶ所,分子間に2ヶ所のdisulfide結合が存在すると考えられた.さらに報告されているPDGFのX線解析の結果を元に,HFの三次構造のコンピューターによるホモロジーモデリングを行った. 2.HFの各種細胞の増殖に及ぼす影響の検討 1%FCS加DMEM培地中で,ヒトやウシ由来の大動脈,毛細血管内皮細胞に対して,HFは終濃度0.1-100nMの範囲で濃度依存的な増殖促進作用を示した. 3.HFとVEGF/PDGFの生理作用の検討 HFはVEGF同様,毛細血管透過性亢進作用を示し,またVEGFにはHFに類似した血圧降下作用が認められた.western blottingの結果,抗HFウサギ抗体はVEGFとも反応性を示したことから,HFとVEGFは生体内においても共通した作用機構を有する可能性が示唆された.
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