研究概要 |
スギ花粉エキス+水酸化アルミニウムの投与によって感作したモルモットに,スギ花粉を1週間間隔で反復吸入させることによって発現する2相性の鼻閉および鼻粘膜過敏性のうち,今年度はヒスタミンによる鼻粘膜過敏性の発症機構の解析を中心に行ない,以下の実績を得た。 1.ヒスタミンによる過敏性の経時的変動- 感作動物はヒスタミンの点鼻に対して,非感作動物に比して極めて低濃度から鼻腔抵抗の上昇(鼻閉)を発症する鼻粘膜過敏性を示すが,この反応はヒスタミンの点鼻10分後にピークに達した後,緩徐に寛解し,60分後にはほぼ元のレベルにまで回復した。一方,感作動物は,メサコリンの点鼻に対しては,明らかな反応性の亢進を示さなかった。 2.ヒスタミンによる鼻粘膜過敏性における血管拡張の関与- 血管収縮薬,ナファゾリンの静脈内投与は,非感作動物の鼻腔抵抗を強力に低下させた。一方,ナファゾリンは,感作-惹起動物においてヒスタミンの点鼻によって発現する鼻腔抵抗の上昇(鼻粘膜過敏性)に対しても強い抑制を示したが,その程度は非感作動物のレベルにまでは達しなかった。 3.ヒスタミンによる鼻粘膜過敏性における血管透過性亢進の関与- 感作動物においては,ヒスタミンの点鼻により,鼻粘膜および管腔内に顕著ではないが有意な血漿漏出が認められた。 以上の(1)〜(3)の成績より,感作動物におけるヒスタミンによる鼻粘膜過敏性の亢進は,主としてヒスタミンに対する鼻粘膜の血管拡張反応が亢進する結果,引き起こされていることが明らかとなり,されに血管透過性亢進も一部関与しているものと考えられる。
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