研究概要 |
1.PLA_2の触媒機構の解明-種々のテルペノイドによるPLA_2の阻害を調べ、テルペノイド構造をもったPLA_2阻害剤として知られているマノアライドよりも強い阻害剤として、3-methoxycarbony1-2,4,6-trienalの合成に成功した。そこで、この化合物によるPLA_2の阻害機構を調べた結果、阻害はLys残基の化学修飾に基づくことが明らかになり、修飾酵素のMALDI-TOF-MSを用いたペプチド分析により、Lys56が修飾されることがわかった。この残基は、PLA_2分子表面において、気質ミセルが結合する部位近傍に存在することから、本化合物によるPLA_2の不活性化は、酵素分子内のミセル認識部位の修飾によることが示唆された。 2.PLCの触媒機構の解明-B.cereus菌由来スフィンゴミエリナーゼの結晶化を行うため、酵素溶液の調整法について動的光散乱により検討した結果、酵素溶液についてゲル濾過クロマトグラフィーを行い、単量体の画分を濃縮することにより、単一な粒子サイズの酵素溶液を調整できることがわかった。また、本酵素の触媒機構を明らかにするため、スフィンゴミエリンのリン酸エステル部分をホスホン酸に置換した基質アナログを合成した。阻害実験を行った結果、1mMの基質溶液を用いた場合の50%阻害濃度は0.1mMであった。しかし、このアナログがスフィンゴミエリナーゼと直接結合する証拠はまだ得られていない。
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