研究課題/領域番号 |
09672268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
櫨木 薫 理化学研究所, 宇井特別研究室, 研究員 (50146007)
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研究分担者 |
瀬谷 司 大阪府立成人病センター, 研究所第6部, 室長
藤岡 聡之 理化学研究所, 宇井特別研究室, 研究員 (20133770)
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キーワード | ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ / チロシンキナーゼ / プロテインキナーゼC / Fcレセプター / Cbl |
研究概要 |
申請者は食細胞の抗体受容体(FcγR)刺激において機能する情報伝達系について検討している。これまでに以下の事実を公表してきた。(1)FcγRを架橋刺激すると癌原遺伝子産物Cblがチロシンリン酸化され、その結果Cblはホスファチジルイノシトール(PI)3-キナーゼと会合する。(2)抗体に依存した貧食反応はPI3-キナーゼ活性を要求する。(3)フォルボールエステル(PMA)処理細胞においては、FcγR刺激に依存して生じるこれらの応答が抑制される。本年度はPMA処理によってFcγR刺激が遮断される機序を検討し、以下の結果を得た。^<32>Piで標識した細胞をPMAで刺激し、抗Cbl抗体で免疫沈降するとCblのセリン残基のリン酸化が観察された。Cblは試験管内で、ラット脳より精製したプロテインキナーゼC(PKC)の基質となった。一方、抗Cbl抗体免疫沈降物はCbl自身及び外から添加した人工基質Raytideをチロシンリン酸化するキナーゼ活性を含有し、このチロシンキナーゼ活性はPMA処理した細胞から調製したCblには会合していなかった。これらの結果より以下の結論が導かれる。CblはCbl自身をも基質とするチロシンキナーゼと会合しており、この活性はFcγR刺激によって増加する。CblはまたPKCによってセリンリン酸化され、その結果Cbl上のチロシンキナーゼ活性は消失する。Cblはチロシンキナーゼ、PKC両者の基質として異なった情報伝達系に相互作用の場を提供している可能性がある。
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