本研究課題に関する平成9年度の研究実績の概要を、以下に述べる。 1)α-pyrone系新免疫機能小説活性真菌成分の構造活性相関の解明 子襄菌Gelasinospora multiforisからα-pyrone系免疫抑制活性成分multiforisin Aの新同族体2種を単離したほか、近縁菌のDiplogelasinospora grovesiiから主免疫抑制活性成分DG-2(multiforisin A類縁体のα-pyrone系化合物であり、先にYamamotoらによりMacrophoma commelinaeから得られていたmacrophinに一致すると推定されるもの)を比較的大量(0.1g)得ることができた。得られたDG-2につき、酸処理、アルカリ処理、NaBH_4還元を行い9種ほどの誘導体を作製、各構造を決定した。これらの誘導体につき、マウス脾臓リンパ球のmitogen誘導幼若化に対する抑制活性を、倍地添加[^3H]-thymidine導入率の測定(RI法)や今回新たに導入した生物試験法であるmitochondria還元酵素活性の測定(MTT法)から算出し、DG-2のマウスリンパ球幼若化抑制活性と比較して、α-pyrone系免疫抑制活性成分の構造活性相関を解明した(第11回天然薬物の開発と応用シンポジウム(1997年8月)、日本薬学会第118年会(1998年3月)口頭発表)。 2)子襄菌Gelasinospora kobiの主免疫抑制活性成分及びDiplogelasinospora grovesiiの副免疫抑制活性成分の構造活性相関の解明 G.kobiの主免疫抑制活性成分kobiinについて、誘導体との活性の比較を行い、活性発現には、分子全体の三次元的大環状構造が必要であること、D.grovesiiの副免疫抑制活性成分10-epi-colletodiol、colletodiolについても、活性発現には、分子全体の三次元的大環状構造が重要であり、10位立体配置の違いはSがRよりわずかに強いことをそれぞれ明らかにした。 3)他の子襄菌についての新免疫機能調節活性成分の探索 予備検索で有意な免疫抑制活性が示されたGelasinospora santi-florii、Microascus tardifaciens等につき、各培養菌体の抽出エキスを活性を指標に分画し、それぞれの活性成分の単離に成功した。
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