細胞膜の状態変化を介して、標的細胞のホルモンに対する感受性を修飾しうる化合物としてビスコクラウリン型アルカロイド(Cep、Tet、isoTet)を見いだし、こられ分子の構造特性を分子シミュレーションにより検討することで、ホルモン作用修飾能を有する新規化合物、steric hindered phenol TX1123、および、2-nitroimidazole系TX1877を分子設計・合成した。これらTX系化合物について、白色脂肪細胞においてβアゴニストによって誘導される脂肪酸合成をインスリンと協調的に調整しうることを明らかにした。さらに、これら一連の化合物の活性発現機構の解析、ならびに、新規に分子設計する際の指標として、立体疎水的パラメータ(dGW)を創製した。このパラメータは、化合物の立体的な相違(立体異性体)を反映するため、多くの化合物を設計する際に非常に有用である。実際、dGWによってbrefeldinA(BFA)の立体異性体を設計すると、4位の水酸基をepi化することで、その疎水性度が大きく変化することを予測し、BFAのアポトーシス誘導能を消失させた新規化合物、4-epi-BFAの合成に成功した。現在、ガン細胞の分化(アポトーシス)調節能を有するBFA関連化合物の設計合成を行っている。
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