研究概要 |
1981年にウイルス感作されたインターフェロン処理細胞抽出液から発見された2-5A(2'-5'オリゴアデニレート)は強力な蛋白質合成阻害物質である.2-5Aは細胞内に存在する2-5A依存性リボヌクレアーゼ(RNase L)を活性化して、mRNAを切断し、結果的に蛋白質合成を抑制する.以来、2-5Aの天然型の合成研究が活発に行われた.しかし,このアデニレートは核酸分解酵素によりリン酸エステルが分解を受け易く、2,3分と半減期が短い.しかしながら、2-5Aはこの欠点を克服すれば、免疫賦活作用による抗ウイルス薬の候補となる可能性を秘めている.そこで核酸分解酵素に抵抗をもつ2-5A様の非環状オリゴアデニートを得るために先ず、ラセミ体でモノマーの合成を種々検討した結果、グリセルアルデヒドより導いた1,2-dihydroxy-prophl iodide とγ-butyrolactoneをDIBAL還元して得た2-hydroxytetrahydrofuraneから、数工程を経て4-acetylthiomethyl-2-hydroxypropyl-1,3-dioxolaneを得た.脱保護、縮合を検討し、オリゴマーへ導く予定である.ビス-1,3-ジオキソラン体を3種類合成し、シリル化N-Bz-アデニンをTMSOTf触媒下、ワンポットでジヌクレオシドに導くことに成功した.今後、固定化法によるオリゴマーを検討する.
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