研究概要 |
点滴注射剤に代わる製剤について検討を開始するにあたり,まず投与部位である皮膚の薬物透過バリアーを克服するための3つの方法論,すなわちElectroporation(電気穿孔法),無針液体圧力注射器(liquid injector)を用いた方法,及び無針粉末圧力注射器(powder injector)を用いた方法について検討した. 電気穿孔法については安息香酸ナトリウムをモデル薬物として用い,その皮膚透過性に及ぼす出力やパルス適用方法などの電圧の適用の仕方や電極の位置などの影響について調べた.また,電気穿孔法とイオントフォレ-シスとの併用効果についても調べた.liquid injectorに関しては,1〜3回処理して皮膚に小孔を形成させた後,ジクロフェナクナトリウムかアンジオテンシンIIを皮膚適用し,それらの皮膚透過性を測定した.また,powder injectorに関しては,インドメタシンを含有したポリ乳酸マイクロスフィアを遺伝子銃にて皮内注入する方法をとった。.3方法それぞれで,数倍から数10〜100倍の皮膚(皮内)導入率または皮膚透過性が得られ,これらが点滴注射剤の代替品となりうることが示唆された.今回のfeasibility評価では,それぞれの方法に適すると思われる薬物を使ったので,3方法を直接比較できなかった.今後は用いることがてきる薬物群の特定化を目指す.また,皮膚適用製剤の修飾によって,更なる効果の増強と使用の簡便化について検討する.
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