研究概要 |
11Z-9デメチル-9-ベンジルおよび9-フェニルレチナ-ルを合成し、ウシオプシンとの相互作用を検討した。(2E)-(2,6,6-trimethylcyclohexen-1-yl)-2-propenoic acidを原料としてWeinrebのアミドに変換後、グリニャ-ル試薬または、有機リチウム試薬を反応させることによりβ-イオノンのメチルケトンのメチル基を他の置換基に置き換えた化合物とし、ドデカカルボニル三鉄(0)と処理しβ-イオノンアナログ鉄カルボニル錯体の収率の良い(80-90%)一般合成法を確立することができた。このアナログのうち、9位がベンジル基とフェニル基のものを11Z-レチナ-ルへと誘導した。即ち、まずアセトニトリル塩と反応後、DIBAL還元しβ-イオニリデンアセトアルデヒドアナログ鉄カルボル鎖体を得た。続いてトリメチルシリル酢酸エチルとのPetertson 反応を行うとオレフィン成績体のZ-体を優先的に与えた(E-体:Z-体=cal:6)。ここで得たZ-体は、トリフェニルスタニルメチルリチウムとの反応によりメチルケトン体とし、ジイソプロピルシアノメチルホスホネートとのEmmons-Horner反応によりレチノニトリル鉄カルボニル錯体とした。最後に、鉄カルボニル部を除去後、DIBAL還元しレチナ-ルアナログを得ることができた。 次に、合成した11Z-レチナ-ルアナログとウシオプシンとの結合実験を行った。その結果、ベルジル体は容易に結合し新たなロドプシンアナログを与えるのに対してフェニル体は全く結合しなかった。この結果より、タンパクの9位のポケット部分の大きさは、フェニル基では大きすぎるのに、メチレン鎖が一個伸びればタンパクと結合できるようになっていることが判明した。
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