神経伝達機能解明を目的とした環状アミノ酸類の合成

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09672293
• 研究機関: 神戸薬科大学
• 研究代表者: 内藤 猛章 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00068339)
• 研究分担者: 宮部 豪人 神戸薬科大学, 薬学部, 助手 (10289035) ; 宮田 興子 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (90102110) ; 木口 敏子 神戸薬科大学, 薬学部, 助教授 (70068344)
• キーワード: 神経伝達機構 / カイニン酸 / アミノ酸 / ラジカル / チオフェンノール / 閉環反応

研究概要

(1)シスペンタシンおよび関連環状アミノ酸類の合成
我々が最近開発したオキシムエーテルをラジカル受容体とする新規閉環反応を活用した環状アミノ酸類の合成を行った.入手容易なオキシムエーテル類の硫黄原子ラジカルの付加閉環反応により,隣接位が官能基化された環状化合物を合成後,官能基変換によりシスペンタシンに代表される炭素環状及びヘテロ環状β-アミノ酸類の効率的合成を行った.
(2)ニトロンの1,3-双極子環化付加反応による環状アミノ酸及びその類縁体の合成
環状アミノ酸類縁体であるアジミン酸は特異なマクロライドラクトンであるアジミンの構成アミノ酸である.これまで合成例はあるものの,その生物活性については未知であり,神経系に及ぼす作用も期待される.そこで光学活性オレフィンとニトロンの1,3-双極子環化付加反応およびその生成物であるイソキサゾリン体の環変換反応を組み合わせたアジミン酸の不斉全合成を達成した.
(3)環状アミノ酸及びその類緑体の合成
安価で入手容易な天然のアミノ酸から誘導したホルミル基とオキシムエーテル基を同一分子内に有する光学活性なオキサゾロン体のラジカル閉環反応を利用した環状アミノアルコール類の一般合成法を開発するとともに,オキシムエーテルのラジカル閉環反応に及ぼす共役系の影響を系統的に検計しδ-アミノ酸関連化合物の一般合成法も開発した.

研究成果

• [文献書誌] 木口敏子: "Total Synthesis of (+)-Azimic Acid,(+)-Julifloridine,and Proposed Structure of N-Methyljulifloridine vai Cycloaddition of Nitrone to a Chiral Dipolarophile"Tetrahedron. 54. 15589-15606 (1998)
• [文献書誌] 内藤猛章: "Radical Cyclizations of Vinylogous Systems Involving Oxime Ethers Connected with Carbonyl Groups"Heterocycles. 51・3. 489-492 (1999)
• [文献書誌] 宮田興子: "An Efficient Synthesis and Selective Reaction of N-Substituted Isothiazolidinium Salts"Heterocycles. 51・7. 1513-1516 (1999)
• [文献書誌] 木口敏子: "Radical Cyclization in Heterocycle Synthesis. Synthesis of Chiral 2-Substituted 5-Amino-4-piperidinols via Radical Cyclization"Heterocycles. 51・11. 2711-2722 (1999)