アレルギー反応を阻害する新規物質を天然資源から探索するためには、作用を評価するための新しい実験モデルを考案することが必須である。そこで、我々は実験モデルの開発を手掛け、これまでにアナフィラキシ-(1型アレルギー)を短期間に誘発するマウスモデルを新規に作製し、アナフィラキシ-によるマウスの死亡率を指標としたアッセイ法の確立、アナフィラキシ-に基づく血圧降下を利用した定量法の確立、さらにこの簡易型スクリーニング法の確立を行った。またこれらの測定法を利用して天然物をスクリーニングし、新たにアナフィラキシ-を抑制する物質を明らかにしてきた。 本年度は、このモデルマウスにおいて、アナフィラキシ-発症時に血圧低下と同時に観察される血流量の低下を利用した新規のアッセイ法の開発を試みた。アナフィラキシ-発症時に、さまざまな部位の末梢血管をレーザー血流計を用いて血流をモニターした結果、マウスの尾部皮下の微小循環において、定量的に血流の低下を測定できることが判明した。このモデルおいて血流の低下は血圧低下と共に、アナフィラキシ-発症とその後の重篤なショックを引き起こす大きな要因と考えられる。したがって、アナフィラキシ-の血流低下を測定できることにより、これを抑制する新規物質をスクリーニングできることが示唆された。そこで先の方法で天然物からスクリーニングして得たアナフィラキシ-抑制物質をこの方法で試験したところ、血流量の低下が有意に抑制された。さらに抗ヒスタミン、抗PAF、抗脱顆粒作用を有する医薬品の血流に与える影響を検討し、本法が新しいタイプの抗アレルギー薬のアッセイ法として利用できることを証明した。
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