プライベートヘルスデータベース(PHDB)は生まれてから死ぬまで継続的に必要な健康・医療情報を一元的に管理しようとするものである。その理念・目的・基本的構造についての考察をおこない第17・18回医療情報学連合大会で報告した。さらに、PHDBの構築のスタートとして産科領域での健康・医療情報の取扱いについて、大阪大学医学部保健学科と同附属病院産婦人科との共同プロジェクトを平成9年度よりはじめた。平成9年度と10年度にわたり、外来診療の実態調査として待ち時間調査をおこない、待ち時間短縮のための提言をおこなった。また、大阪府下の各市町村保健所がおこなっている母子保健サービスを調査し、その情報提供サービスのあり方について考察した。 また、医療施設が替わっても個人の診療情報が継続されるためには医療施設間ネットワーク構築が必要である。現在使用されている診療情報提供としての紹介状に記載されている医療情報を、情報伝達という観点から言語解析をおこなった。また、これについての調査を国立循環器病センタの協力を得て実施し、センターへ報告した。患者個人の関心事に医療費の支払がある。インフォームドコンセントに医療費の項目も含めることを目的として、疾病別医療費の算出を試みた。PHDBは患者個人の健康と診療情報の集約で、その患者個人にのみ帰属する。したがって個人情報保護の観点から、個人の特定方法やプライバシー保護のための取扱い規約などを明確にしておく必要があるので、規約を制定した。これらの成果は第17・18回医療情報学連合大会および平成10年度情報処理教育研究集会で報告した。
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