1.精神障害者の精神疾患の状態及び治療状況、支援者との関係に配慮しつつ、社会復帰への動機づけが高まるような自助グループなどの実態を聞き取り調査し 2.精神障害者の社会復帰を支援するためには、相談に応じるだけでなく、どのような制度を利用することが当該の障害者にとって有益であるのかが情報提供できているか 3.精神障害者の職業適応と日常生活への適応のために必要な方法として集団的な安全感をどのように保証しているか 等が、我が国の精神障害者の就労支援プロセスにどの程度に実現されているのかを検討することであった。全国10数カ所の医療機関、地域生活支援施設及びアメリカ合衆国のクラブハウスモデルの就労支援担当者及び当事者に聞き取りを行いその結果を分析した。 1.我が国及びアメリカ合衆国における先駆的な取り組みを行っている精神科病院及び地域サービス機関(公立・民間)では、治療計画において社会経済参加を促進するようなプログラムまで視野に入れて職員を配慮し心理・社会的なリハビリテーション体制を実施しているところは少ない. 2.また、就労支援体制の構築に寄与するような公立・民間を横断する相互の情報提供システムは集積・分析されていないため、研究成果が有効活用されていない。 3.協同作業所など任意民間団体のスタッフの中には障害者の生活上の困難を熟知している者も少なくないが、一般企業への就労が行われた経験が著しく少ないことから体験者の成功の原因や背景、継続している根拠について精査されていない。
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