遺伝的アルゴリズムを用いた迅速かつ適切な看護婦勤務スケジュール作成システム

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09672307
• 研究機関: 鈴鹿医療科学大学
• 研究代表者: 前田 宏 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (40291786)
• 研究分担者: 高羽 実 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 助手 (00268070) ; 古橋 武 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (60209187) ; 内川 嘉樹 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20023260)
• キーワード: 遺伝的アルゴリズム / 看護婦勤務表 / スケジューリング / 多制約多目的 / ユーザインターフェース

研究概要

看護婦勤務スケジュールの作成は、看護の質の確保と勤務の公平さを考慮して行う必要があり、多制約多目的の特徴がある。現状は手作業によるものが殆どであり、婦長の大きな負担になっている。コンピュータによる作成支援のためのソフトも依然として、次々と市販されているが、病院ごとの条件が異なるなどの理由により現場で受け入れられていない。
今回は、前年度試作した遺伝的アルゴリズムという手法を用いた看護婦勤務表作成システムを用いて、試行評価した。実際の病院で病棟看護婦の勤務表作成時に考慮している条件を聴取し、それらの条件を用いて試行させてみた。条件の組み合わせが複雑になると、お互いに干渉し、改善が進まないことも見受けられた。条件を緩和することによって、世代交代による改善が進み、ある程度のスケジュールができるので、それを、後編集機能によって微調整することにより、妥当な結果が得られる。ユーザインターフェースも工夫して、迅速に入力設定でき、結果も、手作業で作成する場合に近い形式で表示できるようにした。
今回の研究を通してわかったことは、次のようなことである。
(1) 遺伝的アルゴリズムは、看護婦勤務表作成のような多制約多目的の問題に対しては有力な手法と思われる。
(2) 勤務表を作成する条件や、考慮する優先順位は病院によって異なるので、すべてをコンピュータで作成するのではなく、人間がある程度関与したり、カスタマイズできるようにしておくことが必要である。
(3) 作成された勤務表を看護の質や公平さという観点で人間が評価できる情報を提供できるような枠組みが必要である。
上記をふまえて、対話的な作成支援を行うようなシステムを「インタラクティブGA」の手法を用いて検討した。

研究成果

• [文献書誌] 井上武士, 古橋 武, 前田 宏 他: "インタラクティブGAによる看護婦勤務スケジュール作成表に関する一考察" 電気関係学会東海支部連合大会 講演論文集. 9月. 303 (1998)
• [文献書誌] 高羽 実, 前田 宏, 坂部長正: "遺伝的アルゴリズムを用いた看護婦勤務スケジュール表作成システムの開発" 医療情報学連合大会 論文集. 第18回. 816-817 (1998)
• [文献書誌] 井上武士, 古橋 武, 前田 宏 他: "進化的計算を用いたインタラクティブ・システムによる看護婦勤務表作成支援" ファジイ学会Ecomp研究会 講演論文集. 第11回. 17-19 (1998)
• [文献書誌] 前田 宏, 高羽 実, 坂部長正: "遺伝的アルゴリズムを用いた看護婦勤務表作成システム" 鈴鹿医療科学大学 紀要. 第6巻. 6月発行予定 (1999)
• [文献書誌] T.Suzuki, T.Furuhashi: "Efficient Generation of Fuzzy Rules Using Bacterial Evolutionary Algorithm and Classificcation of Fuzzy Rules" Proceedings of IIZUKA ′98. Soft Computing. 931-934 (1998)
• [文献書誌] N.E.Nawa, T.Furuhashi: "Bacterial Evolutionaly Algonthm for Fuzzy System Design" Proc. 1998 IEEE Int′l Conf. on Systems,Man,and Cybernetics (SMC′98). 2424-2429 (1998)