研究概要 |
神戸薬科大学では平成9年度より初めて大学院において医療薬学を専攻するコースが設置され,大学院生の6か月間にわたる病院実習が実施された.院生の病院実習に先立ち,事前教育として臨床に関連する科目の特論を新たに開講すること,および4年次生の病院実習事前実習(プレファーマシー・トレーニング)ティーチング・アシスタントとして参加させ,教育効果をあげることを目指した.また,研究担当者が互いの大学に赴いて特論を担当し,相互の大学における教育の特色を比較しあうことも行った.年度末に発表会を実施し,その中で事前教育が効果をもたらしたことが示された.また,大学での研究内容と病院での研究内容に整合性を持たせるための打ち合わせを定期的に実施し,有機的な連携を行った.その結果,抗不整脈薬とカルシウム拮抗薬の薬物相互作用に関する臨床的現象を基礎的に検討し,新たな知見を得てその成果を薬学会で発表する予定である。 大学院教育を推進するにあたり,他大学とも情報交換する必要があると考え,平成10年2月,関東および関西の6大学の医療薬学教育担当講座教員による懇談会を実施した.この懇談会において,大学間での教育の実状および教育理念が極めて異なることが明らかになった.今後の医療薬学を発展させるためには,是非とも大学院における医療薬学教育を充実させる必要がある.しかしそのガイドラインとして確立されたものは存在しない.本年度の成果をふまえ,次年度は医療薬学大学院教育におけるガイドラインを策定するために,さらに多くの大学からの情報を収集し,また意見交換を行う場を設定して,最終的には研究会を発足させる予定である.
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