研究概要 |
ドーパミンD2受容体の変異検索を行い、プロモーター領域に-141CIns/Del多型を発見し、この多型が細胞レベルで転写活性に影響を持っていることを示した。さらに、この多型が精神分裂病と関連していることを症例・対照研究で示した。さらに、この多型が精神分裂病患者において抗精神病薬の副作用と関連していることも見いだした。 第22染色体の中でも22q11.2領域はその欠失によるVelo-Cardio-Facial Syndrome(VCFS)において思春期以降分裂病あるいは分裂病様症状が好発することから、この領域に分裂病に関わる遺伝子が存在している可能性が推測されSCZD4と命名されている。本研究では、その遺伝子の検出を目的としては分裂病患者において欠失している領域の決定を行うために、ヘテロ接合性の消失を指標として22q11.2領域の検索を行った。4カ所の多型マーカーD22S941、D22S944、D22D311,C0MTにおいては症例・対照間で変異の頻度に差はなく、遺伝子型頻度はHardy-Weinberg平衡から期待される頻度と有意差はなかった。一方、D22S264では対照群83%に対して、患者群では70%と有意にヘテロ接合体の頻度の低いことが確認された(p=0.0002)、また、Hardy-Weinberg平衡からも有意に偏っていた。D22S264より数kbp離れた所に存在するZNF74遺伝子の変異検索により多型を検出し、遺伝子型を決定したところ、患者群ではヘテロ結合体がHardy-Weinberg平衡から期待されるより有意に少なく観察された。これらによりD22S264からZNF74遺伝子を含む領域で欠失により精神分裂病の素因となる遺伝子が存在していることを示唆された。
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