研究課題/領域番号 |
09672319
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青山 隆夫 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60262028)
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研究分担者 |
正木 忠彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30238894)
小滝 一 東京大学, 医科学研究所・附属病院, 薬剤部長
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | Bechromethasone dipropionate / enema / alcerative colitis patients / suppository / rat / Corticosteroid / 2,4,6-trinitrobenzensultonic acid |
研究概要 |
(1) 潰瘍性大腸炎(UC)の治療を目的として、強力な局所抗炎症作用を有し、且つ、全身性副作用発現の少ない副腎皮質ホルモン剤であるジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)を含む注腸液を調製し、臨床適用に向けて薬剤学的検討を行った。BDP注腸液は、1%メチルセルロース水溶液にBDPエタノール溶液を加えて調製した。BDPの平均含量は、4℃暗所保存では、調製後2週目で調製直後の93.4%、4週目で85.6%に低下した。一方、40℃明所保存では、調製後1週目で93.9%に低下し、その後はほぼ一定であったが、1日目からBDPの結晶の析出が認められた。パラオキシ安息香酸メチルの添加によって安定性は向上した。BDP注腸液を3名のUC患者に投与した結果、臨床症状および臨床検査値(WBC値やCRP値)の改善が認められた。また、プレドニゾロン注腸液の投与で副作用が発現していた2名は、BDP注腸液への変更により副作用の消失が確認された。調製したBDP注腸液は、UC患者の治療において、有効な薬剤であることが示唆された。 (2) BDP注腸液のUCに対する有効性をTNB誘発性炎症性腸疾患モデルラット用いて検討した。TNB処理後3日目から、BDP注腸液を1日1回(20または50μg/rat/day)、4または11日間、連日投与した結果、下痢や下血などの消化器症状が発現しているラットの割合は、対照群に比してBDP投与の経過とともに低下し、50μg投与では4日目で全例において改善された。結腸湿重量、障害スコアおよび組織中MPO活性では、投与後の初期(4日目)では投与量依存的な効果が認められた。しかし、11日目においては、対照群との差は認めれなかった。この原因としては対照群の自然治癒よるものと考えられる。BDP注腸液は、TNB誘発性炎症性腸疾患モデルラットにおいて、投与初期において投与量依存的な効果が認められ、臨床における有用性を裏付けることができた。
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