• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

血管内皮細胞における一酸化窒素合成酵素の機能異常とその血管新生に及ぼす影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09672334
研究機関昭和大学

研究代表者

百瀬 和亨  昭和大学, 薬学部薬理学教室, 教授 (80004597)

キーワードtetrahydrobiopterin / nitric oxide synthase / reactive oxygen species / H_2O_2 / angiogenesis / ets-1 / vascular endothelial cells
研究概要

活性酸素は虚血ー再潅流障害や炎症による組織障害の原因物質あるいは増悪因子として考えられてきた。しかしながら、近年活性酸素が細胞内情報伝達物質として機能している可能性が示されつつある。一酸化窒素(NO)合成酵素は、通常ホルモンなどの刺激によりNOを遊離するが、補酵素であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)量が低下すると、NOではなく活性酸素を生成することが脳由来の酵素で示されている。本研究では、最初に血管内皮細胞のNO合成酵素においてもBH4量が低下すると活性酸素を生成するか否か検討し、次に活性酸素が血管内皮細胞の特徴的機能である血管新生に影響を及ぼすか否かについて検討した。ウシ大動脈由来内皮細胞にカルシウムイオノフォアを添加したところ活性酸素の遊離が認められ、この活性酸素の遊離はBH4合成経路の阻害剤処置により増加した。更に、NO合成酵素阻害剤はカルシウムイオノフォアによる活性酸素の遊離を抑制した。以上の結果は、血管内皮細胞のNO合成酵素においても補酵素であるBH4が低下すると活性酸素を生成することを示す。次に活性酸素種の一つである過酸化水素を内皮細胞に添加したところ血管新生の促進が認められた。また、過酸化水素による血管新生は転写因子ets-1のアンチセンスにより抑制されたことから、ets-1の関与が考えられた。ets-1はタイプIコラゲナーゼの発現を制御すると考えられている。これらのことから、過酸化水素による血管新生の促進にets-1を介したタイプIコラゲナーゼの発現が関与すると思われる。本研究において、BH4含量の低下に伴いNO合成酵素から遊離する活性酸素が血管新生に影響を及ぼすか否かについてBH4合成経路の阻害剤である2,4-diamino-6-hydroxyprimidine(DAHP)を用いて検討を進めたが、DAHPそれ自身に血管新生抑制作用があり、NO合成酵素との関連を明らかにすることができなかった。今後、選択的なBH4合成阻害薬を探索する必要がある。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] SHUNICHI SHIMIZU: "Role of tetrahydrobiopterin in the function of nitric oxide synthase and its cytoprotective effect(Review)" INTERNATIONAL JOURNAL OF MOLECULAR MEDICINE. 2. 533-540 (1998)

  • [文献書誌] SHIJI NAITO: "Ets-1 is an early response gene activated by ET-1 and PDGF-BB in vascular smooth muscle cells" Am.J.Physiol. 247. C472-C480 (1998)

  • [文献書誌] MASAKAZU ISHII: "ACCELERATION OF OXIDATIVE STRESS-INDUCED ENDOTHELIAL CELL DEATH BY NITRIC OXIDE SYNTHASE DYSFUNCTION ACCOMPANTED WITH DECREASE IN TETRAAHYDROBIOPTERIN CONTENT." Life Sciences. 61・7. 739-747 (1997)

  • [文献書誌] MASAKO YASUDA: "STIMULATION OF IN VITRO ANGIOGENESIS BY HYDROGEN PEROXIDE AND,THE RELATION WITH ETS-1 IN ENDOTHELIAL CELLS" Life Sciences. 64・4. 249-258 (1999)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi