アンジオテンシノーゲン(AGT)およびアンジオテンシン変換酵素(ACE)の遺伝子多型の病態的意義を明らかにするために、無作為に抽出した青森県民789例について、PCR法に従い購入した紫外線可視分光光度計を利用し、AGT遺伝子exon2のM235T変異およびACE遺伝子intron16の287塩基対挿入(1)/欠失(D)に基づく、それぞれの遺伝子型頻度を検討し、以下の結果を得た。 1.AGT遺伝子多型解析 AGT遺伝子型の頻度はMM型2.4%、MT型31.1%、TT型66.5%であり、対立遺伝子頻度はM:T=0.179:0.821であった。また、各遺伝子型において年齢、BMI、総コレステロール、収縮期血圧、拡張期血圧に有意差を認めなかった。健常者群(449例)高血圧群(277例)、糖尿病群(29例)、脳卒中群(12例)、高脂血症群(37例)およびその他の疾患群(30例)に分類し、遺伝子型および対立遺伝子頻度について健常者群と比較検討したが、有意差を認めなかった。 2.ACE遺伝子多型解析 ACE遺伝子型の頻度はII型44.5%、ID型44.1%、DD型11.4%であり、対立遺伝子頻度はI:D=0.665:0.335であった。また、各遺伝子型において年齢、BMI、総コレステロール、収縮期血圧、拡張期血圧に有意差を認めなかった。健常者群(449例)、高血圧群(277例)、糖尿病群(29例)、脳卒中群(12例)、高脂血症群(37例)およびその他の疾患群(30例)に分類し、遺伝子型および対立遺伝子頻度について健常者と比較検討したところ、糖尿病群においてのみ遺伝子型および対立遺伝子頻度に有意差を認めたが(P<0.01)、それ以外の群では有意差を認めなかった。 次年度以降、腎不全にまで対象を、拡げAII受容体タイプI遺伝子多型についても検討の予定である。
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