研究概要 |
本年度は平成9年度の検討で高血圧と連関が示唆されたアンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子I/D多型の高血圧における再評価と高血圧関連疾患である脳卒中との連関解析を行った。 高血圧患者183例(男性83例、女性100例)、脳卒中患者182例(男性79例、女性97例)、健常対照者193例(男性67例、女性126例)を対象とした。 ACE遺伝子I/D多型の高血圧群における遺伝子型の頻度はI/I 36.6%、I/D+D/D 63.4%、脳卒中群I/I 34.1%、I/D+D/D 65.9%、健常対照群I/I 49.2%、I/D+D/D 50.8%であった。 ACE遺伝子I/D多型は、高血圧(p=0.0163;odds ratio,1.7;95% confidence interval,1.1-2.5)および脳卒中(p=0.0034;odds ratio,1.9;95% confidence interval,1.2-2.8)とは有意の連関が認められた。また、脳卒中の原因疾患別においても、梗塞性疾患(110例) (P=0.0314;odds ratio,2.3;95% confidence interval,1.1-2.7)および出血性疾患(61例) (p=0.0078;odds ratio,1.9;95% confidence interval,1.2-4.3)と連関が認められた。 以上の結果から、青森県における高血圧および脳卒中の遺伝的危険因子としてACE遺伝子I/D多型が重要で遺伝子マーカーとなり得る可能性が示唆された。
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