| 研究概要 |
抗がん剤に対して耐性化するとがん治療が困難になる。白血病は治療成績が向上しているが、依然として約半数は治療抵抗性であり、予後不良である。ここにおける耐性の早期発見は急務である。本研究において,我々はθra-C耐性細胞株を樹立し、その耐性機序について耐性関連遺伝子群の発現が特異的に増加している事を見出してきた。今回、これらの耐性発現に関連する遺伝子について、白血病症例を中心とした特定分子を標的とする定量PCR法による遺伝子発現検査法を開発した。すなわち,本システムにより耐性細胞株ではMDR-1,MRP,dCKの薬剤耐性関連遺伝子の発現量がP糖蛋白発現、Rh123色素排泄試験、薬剤感受性試験の成績と良好な相関を示した。しかし、白血病症例ではP糖蛋白及び色素排泄試験陽性がなく、IC_<50>からも耐性度は低く薬剤感受性と判定された。しかし、P糖蛋白陰性例でMDR-1発現量が高い症例も認められた。このことより定量法が従来法より感度の高い耐性判定法と考えられた。これらを確認するためには、さらに症例を重ね、経過観察し治療成績を比較検討を行う必要がある。本研究は従来法と比較して感度の高い方法であるが,これまでの耐性判定に補助的手段として用いられることになると推定される。したがって、これらを含む耐性遺伝子の定量解析は白血病における耐性の早期診断、治療方針決定、再燃予測に役立つ検査法といえる。
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