研究の背景:感染症の診断には、従来の検査より鋭敏で、特異性の高いマーカーの開発が、急務である。感染早期活性化のサイトカインとしてインターロイキン8(IL-8)に注目した。そこで、単球由来で感染症特異IL-8をクローニングし抗体を作製後、感染炎症の新しい診断法の確立を試みた。 研究成果;敗血症で来院した患者65人の血中IL-8レベルを測定し、異常高値(>10pg/ml)となり、100%の感受性を示した。化学療法中の白血病患者は、従来の感染症マーカーである好中球数はあてにならず、患者の血中IL-8を測定しCRPや発熱の上昇と比較検討した。血中IL-8は、従来の感染症マーカーであるCRPや好中球、そして発熱のいずれよりも早期に上昇した。培養においても、ヒトモノサイトでPMA刺激後1時間よりIL-8mRNA発現が認められたが、対照としたIL-6mRNAの発現は3時間まで同定できなかった。。以上より、血中IL-8の測定は、極く早期の感染症疾患の活動を同定できる新しいマーカーであることが示唆された。そこで、好中球増加や発熱より早期に変化する単球由来のIL-8を測定するすることは、感染症の臨床診断に有用である。
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