インスリン抵抗性(感受性)の評価を簡易化する目的で血小板を用いたインスリン感受性評価法の検討を開始した。従来法であるインスリン感受性評価法がグルコースクランプ法によらなければならない。このため、特定の機材を必要とし、かつ患者を長時間拘束することにより一般的に行いづらい。したがって、如何にして外来患者に対してインスリン感受性を評価するかを本研究の主眼とした。本年度はTravati等が報告した血小板を用いたインスリン感受性評価法の基礎的検討を行った。まず、体重別の健常者でのインスリン感受性を検討した。しかし、本法では食後の中性脂肪の影響を受け、測定値が不確定になることが明かとなったため、測定を空腹時に限定して行った。その結果、報告とは若干異なるものの、インスリン濃度が1000-2000pMでID50が得られることおよび加齢とともにID50が上昇傾向を示すことが確認され、本法の有用性の一端が確認された。このため、対象を患者に移して血小板および従来法でのインスリン感受性の検討を行った。糖尿病患者では服薬、罹病期間、病型等の影響因子が多いことより、インスリン抵抗性が耐糖能異常の原因とされているpolycystic ovary syndrome(PCOS)症例を用い血小板でのインスリン感受性と、グルコースクランプ法でのインスリン感受性の関連性の検討を開始した。症例数は現在10例程度であるが、血小板でのインスリン抵抗性指数(ID50)と体重、食後血糖値、空腹時インスリン値、グルコースクランプ法で求めたインスリン感受性指数(GIR)間に関連性が認められ、今後さらに症例数を増やす予定である。その他、肥満動物モデルでのインスリン感受性と血小板のインスリン感受性の検討も開始したところである。
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