研究概要 |
Fas/Fas-1igand systemは、基本的な生物現象のみならず腫瘍の発生・除去および免疫性疾患などの病態に深く関与していることが予想される。そこで、本研究では、まずアポトシスの最初の担い手であるFas 分子のisoformの異常と病態について、腫瘍細胞をモデルとして検討した。今年度の研究実績は:(1)CLL, ATL, HTLV-1 cell linesの膜型と分泌型isoform(mFas, sFas)の蛋白発現量を定量し、これらの基本台帳とcell and serum bankを設けた。(2)腫瘍細胞のmFasは、anti-Fas IgM抗体にてapoptosisを誘導し、機能を保持していることを確認し、治療のtargetに成りうることを明らかにした。(3)ATLの10%と全例のCLLはmFas陰性ないし痕跡程度の陽性であるにもかかわらず、膜型mRNA(transmembrane domain;TMを含むfull length mRNA)と分泌型mRNAは発現しており、しかもsequencingにてmFas陰性のcDNAでも遺伝子変異はなかった。(4)前述の(3)にて発見されたmFas陰性ATL,CLL細胞はin vitro短期培養にてmFasが誘導された。(5)アポトーシス抵抗の1例においてmutation Fasを発見し、その生物学的意義を検討しつつある。
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