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1998 年度 実績報告書

動脈硬化発症・進展における血管壁クラミジア・ニュモニエ感染の病態検査学的検討

研究課題

研究課題/領域番号 09672362
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

西村 眞人  京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50218202)

キーワードクラミジア・ニュモニエ / 動脈硬化 / 冠動脈硬化 / PTCA / ステント / 再狭窄 / 血管内膜肥厚
研究概要

1. ヒト動脈硬化組織内のChlamydia Pneumoniae (C.Pneumoniae)の存在の確認
腹部大動脈瘤症例24例と総腸骨動脈閉塞性動脈硬化症例3例を対象とし、手術時に採取した動脈硬化血管計27例を使用して以下の検討を行った。
1) 血管壁C.Pneumoniaeの免疫組織学的検討
ホルマリン固定した動脈硬化血管をパラフィン抱埋後4μm厚に薄切し、hematoxylin-eosin染色ならびにC.Pneumoniaeに対する特異的モノクローナル抗体を用いた免疫組織学的検討の結果、検討した上記計27例の動脈硬化壁のいずれにもC.Pneumoniaeを見いだすことはできなかった。
2) PCR法による血管壁C.Pneumoniaeの存在の確認
C.Pneumoniaeに対する特異的プライマーを用いてnested PCR法を施行した結果、腹部大動脈瘤症例24例中2例と総腸骨動脈閉塞性動脈硬化症例3例全例に陽性所見を認めた。腹部大動脈例において陽性所見を認めた2例と他の18例との間には、動脈瘤の臨床病理学的差異はなかった。
2. 冠状動脈硬化とC.Pneumoniae感染、特にPTCA後再狭窄との関連
1) 冠状動脈造影検査にて冠動脈病変の有無の判明している132例、2)PTCA(バルーン拡張術またはステント留置)を施行され3-6か月後に冠状動脈造影にて再狭窄の有無を確認し得た102例、3)ステント留置後3か月めに冠動脈造影にて再狭窄の有無を確認した101例を対象とし、C.pneumoniaeに対する血清抗体価を測定した。その結果、1)IgG及びIgAクラスともに、血清C.pneumoniae抗体価と、冠動脈疾患の有無ならびにその重症度との間に関連はみられなかった。2)バルーン拡張術、ステント留置を含めたPTCA後の再狭窄は、IgAクラスの血清C.pneumoniae抗体価の上昇と有意に関連していたが(再狭窄群1.87±0.15,n=40、非狭窄群1.26±0.10,n=62、P=0.0006)、IgGクラスの血清C,pneumoniae抗体価に差異はなかった。
3) ステント留量例のみを対象にした検討では、再狭窄群においてIgA・IgGクラスともに血清C.pneumoniae抗体価の上昇を認めた(IgA:再狭窄群1.73±0.99,n=47、非狭窄群1.21±0.33,n=54、P=0.004、IgG:再狭窄群1.66±1.16,n=47、非狭窄群1.09±0.673,n=54、P=0.014)。 ステント留置後の再狭窄に関わる因子についての多変量解析の結果、糖尿病の有無、multiple stenting、ならびにC.pneumoniae感染がステント留置後の再狭窄に有意に関連していた。
現在までに得られた成績では、C.Pneumoniae感染は動脈硬化の発症そのものに対してよりも、血管傷害時の内膜肥厚などに関与していると考えられ、PTCA後再狭窄の危険因子の一つである可能性がある。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Inoue, N., Nishimura, M., et al: "Association Between Infection with Chlamydia Pneumoniae and the Risk of In-stent Restenosis." Circulation. 98(17)(abstract). I-435 (1998)

  • [文献書誌] Inoue, N., Nishimura, M., et al: "The Infection of Chlamydia Pneumoniae Accelerates Neointimal Hyperplasia Associated with In-stent Restenosis." Journal of the American College of Cardiology. 33(2)(abstract). 59A (1999)

  • [文献書誌] 西村眞人、他: "冠動脈硬化の危険因子としてのクラミジア・ニュモニエ感染" 生物資料分析. 22(1). 30 (1999)

  • [文献書誌] Nishimura, M., et al: "Increased Serum Concentrations of Human Hepatocyte Growth Factor in Proliferative Diabetic Retinopathy." Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 83(1). 195-198 (1998)

  • [文献書誌] Nishimura, M., et al: "Serum Hepatocyte Growth Factor As a Possible Indicator of Vascular Lesions." Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. (発表予定). (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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