研究概要 |
平成9年度は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用い、血小板内の微量RNAからTXA_2とPGI_2R mRNAの定量的測定法(リジンプレートハイブリダイゼーションアッセイ)を開発した。このリジンプレート法はPCRとELISAを利用した高感度で簡素化したアッセイ系である。そして10年度は、ヒトTXA_2RとPGI_2R cDNAを用いてリジンプレートハイブリダイゼーションアッセイと従来法であるエチジウムブロマイド染色およびPCRサザン法を比較した。その結果、エチジウムブロマイド染色、PCRサザン法、リジンプレート法の検出感度はTXA_2RmRNAについてはそれぞれ500pg,500pg,50pg/50μl,PGl_2Rは、100pg,50pg,5pg/50μlであった。また、特異度は、リジンプレート法が非特異的な増幅産物と反応することなく最も高かった。さらに、リジンプレート法を用いてヒト血小板検体について検討した。対象は健常人20例で血小板TXA_2R,PGl_2R mRNAの発現量を検討した結果、TXA_2,R PGl_2R mRNA発現量の平均は、それぞれ274.4±214.9pg/50μl、386.9±255.6pg/50μlであった。また個々のTXA_2R、PGl_2R mRNAの割合はTXA_2R/PGl_2R=0.0075〜2.3と個人差はあるがTXA_2Rの著しく高い例はなかった。
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