研究課題/領域番号 |
09672368
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
熊坂 一成 日本大学, 医学部, 助教授 (20096803)
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研究分担者 |
加藤 公敏 日本大学, 医学部, 助手 (90204461)
荒島 康友 日本大学, 医学部, 助手 (10167231)
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キーワード | 人畜共通感染症 / Q熱 / Coxiella burnetii |
研究概要 |
我々はQ熱患者の抗体価およびPCR法による経過観察、有効な薬剤の検討、治療方法の検討、原因動物の調査および検体採取等を行ってきた。 1996年4月より1997年10月までに、微熱、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛や咳、痰、咽頭痛などの呼吸器症状等を主訴に日本大学板橋病院内科を受診した患者52名、および日本大学駿河台病院健診センターを受診した人間ドック受診者52名を対象として、全血液中より抽出したDNAについて、岐阜大平井教授らにより設計されたCoxiella burnetii(Cb)outer membrane Com I遺伝子を増幅するプライマーを用いてnested PCRによりCbの遺伝子を検出した。患者群の背景因子は平均年齢41歳で男13名、女39名で、平均罹患年数は約5年で、上記の患者52名のうち17名(33%)にCb遺伝子を検出し得た。また、17名の陽性患者のうち16名(94%)が飼育動物との密接な関わりをもっており、そのうち6名がイヌを、7名がネコを3名が他の飼育動物を飼っていた。一方、人間ドックを受診した健常対照群52名(平均年齢52歳、男35名、女17名)においても、患者群に比較しその割合は、低かったが5名(約10%)にCb遺伝子を検出し得た。今回検討した患者群の大部分は、内科、耳鼻科、神経科など他院での受診歴があるが、諸検査に異常が認められず、原因不明と診断されている。これらの患者においてCb遺伝子の検出が健常対照者と比較して明らかに高率であり、上記の症状などを有する診断不明の患者においては、Q熱の病態を考慮にいれる必要があると考えられる。またCb陽性の患者のほとんどが飼育動物との密接な関わりをもっていることより、平井らの報告のように、本邦において、愛玩動物を含む各種動物のCb抗体価の高い検出率(10-20%)を考慮すると、人畜共通感染症としてのQ熱リケッチアの重要性が示唆される。これらの概要は、第46回日本感染症学会東日本地方会総会(横浜)、第4回リケッチア研究会(東京)で報告し、現在FEMS Immunology and Medical Microbiologyへ投稿中である。
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