研究概要 |
1.我々が開発したクメンヒドロペルオキシド/ヘモグロビン・メチレンブルー(CHP/Hb・MB)法の測定する抗酸化能物質 本法はビタミンC、ビタミンE、グルタチオンペルオキシドを抗酸化能物質として測定する他に、ポリフェノール類のクエルセチン、ルチンをも測定することが判明した。このために、これらのポリフェノール類によって抗酸化能を有すると考えられているお茶、紅茶、ワイン等の抗酸化能が測定可能であることが明らかになった。 2、各種飲み物の持つ抗酸化能 各種お茶類の抗酸化能を測定した結果は、緑茶(N=17)16.8-27.8nmol/ml,ほうじ茶(N=3)11.8-17.3nmol/ml,紅茶(N=3)1.6-7.6nmol/mlであり、昆布茶には抗酸化能はなかった。 各種ワインの抗酸化能は、赤ワイン(N=6)平均221.8nmol/ml,(SD=33.78nmol/ml),白ワイン(N=7)平均233.9nmol/ml,(SD=70.2nmol/ml)であり、お茶類の10倍以上の高い抗酸化能を示した。また赤ワインと白ワインには、ほとんど差はなかった。 3、残されている課題 Whiteheadら(Clin.Chem.,1995)の論文が決定的に赤ワインの有効性を印象づけた。我々とは異なる測定法である化学発光法によるデータで、赤ワインは白ワインの14倍の高い抗酸化能があると報告した。ワインには高い抗酸化能があると言う点では一致するものの、赤ワインと白ワインの大きな抗酸化能の差には、我々のデータとは異なっている。ワインに添加される抗酸化剤の亜硫酸との関係、さらに未確認の他のポリフェノール類の反応性を検討しなければならない残された課題である。
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