最近10年間の看護状況の変化を知るために、全国紙について『看護』をKeywordとする記事を検索・分類し、その内容を分析した。『看護』の新聞記事は1945年から1995年迄の51年間に1437、そのうち1984年から1993年迄の最近10年間には496を数え、これは戦後『看護』記事総数の34.5%に相当し、3分の1強を占めていた。 『看護』記事数は、「介護」「障害者」「保健」「医療」の各検索記事数に比較し相対的に少ない記事数で51年間を推移していた。『看護』記事数が特に目立って多かった年は1969(昭和44)年と1990年代初期で、いずれも、看護婦の人員増、看護婦不足対策、労働条件の改善、処遇改善、宿舎や保育所などの福利厚生施設の要求など「看護争議」に分類される報道内容によるものであった。 最近10年間の『看護』記事については、報道というメディアの特性で"いわゆる"事件簿ともいえる「看護婦が関わる事件」と、時の人、著者や報告書の出版、ラヂオ・テレビ・ビデオ・映画、看護婦になる道、看護という職業など"いわゆる"マスメデイアとしての看護の紹介である。「マスメデイア」を除くと、それら以外の記事については、記事分類項目別の記事量と記事の現われ方の順序や内容に、戦後50年を総体として整理した結果との比較において最近10年間の状況には変化が見られ、いくつかの知見を得た。すなわち、看護の実践や実績が市民や住民に批判され評価される時代が到来しつつあることが最近10年間の記事から判断でき、その傾向は続くものと思われる。これらの変化については、21世紀に繋げる課題として今後もその推移を見守り、また、分析方法についても見当を続ける必要がある。
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