研究課題/領域番号 |
09672383
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
数間 恵子 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (10114258)
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研究分担者 |
天野 志保 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90292961)
牛久保 美津子 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90213412)
岩間 毅夫 佐々木研究所, 附属杏雲堂病院・外科, 外科部長 (70114741)
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キーワード | 家族性腫瘍 / がん看護 / がん予防 / 遺伝カウンセリング |
研究概要 |
本年度は、家族性腫傷の遺伝子診断が、がん予防にどのように貢献できるのかを焦点とした。遺伝子診断の医学的利益が明らかであるとされている家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)の遺伝子診断について、とくに未成年の子を持つ親がどのような考えや気持ちでFAPに取り組んでいるのかを明らかにし、その状況における子の遺伝子診断の意義を検討した。 親は、「普通に生活」し、罹患親が「よいモデルを示す」ことにより、子に安心感を与えることができると考え、FAPは「一生気が抜けない病気」ではあるが、継続して受診することにより、健康を維持しようと努めていた。このよう親の思いを支え、親自身のQOL向上を目指して積極的に支援していくことが必要である。 多くの親がFAPについて「もっと知りたい」と希望し、「積極的に病気と関わる」ことが必要であると感じていたが、親としてFAPに取り組むために必要な知識を提供される機会は、子の遺伝子診断や大腸検査を具体的に検討するまでほとんどない状態であった。未成年の子を持つ親は、子自身がFAPと共に生きていくことを引き受けることができるようにするための子育てを想定して、子の遺伝子診断を希望していた。また、子の保因が明らかとなった場合、同一家族内で複数名が生涯医療を受け続ける経済的負担は看過できない重要な問題であり、医療費の公的助成制度などの検討が求められる。 未成年の子の遺伝子診断に関しては、FAPおよびそれを持った生活の体験者である親の態度を含めて検討していくことが重要であり、その過程における家族への支援として、罹患親のQOL向上、情報提供できる体制の確立、診断実施に伴う負担軽減の必要性が明らかとなった。
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