本年度の目的は、ハイテク在宅ケアにおける自立支援型看護ケアの有効性に関する実証研究である。現在、わが国の在宅生活者の大半が日中ベッド上で過ごし、かつ全面要介助である高位頸髄損傷の人工呼吸器長期依存者を対象に、カナダBC州で開発された自立支援型呼吸ケアの介入研究を実施した。平成9年10月訪日したBC州地域呼吸管理の専門家とともに関西および関東地区に在住の対象者8人を数回訪問し、自立型呼吸ケア介入前後のデータを収集した。収集したデータの分析結果、(1)器械呼吸の安全性、とくに呼吸回路の材質や付属装具の工夫、人工鼻の交換頻度と価格、在宅人工呼吸器使用者の予備呼吸回路の確保、(2)呼吸訓練による自力呼吸時間の延長、(3)呼吸・発声訓練による声を出し、長く話せること、(3)排痰と吸引の減少という点で、自立支援型呼吸ケアの有効性は実証できた。その結果について論文を現在作成中である。 自立支援型ケアの有効性の実証には、今後さらに自力呼吸時間の延長、長く話せることおよび電動車椅子による自力移動を目的としたケア介入が必要と考える。さらに地域呼吸ケアシステム化の意義と必要性を示唆するデータも部分的ではあるが、収集することができた。それらのデータを活用しつつ、次年度で自立支援型在宅ケアの供給構造に関する研究に発展させる計画である。
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