研究概要 |
【目的】 肝切除患者のQOL向上を目的とした看護プラン作成の基礎的資料とするために、10年前と最近の3年間における肝切除症例の経過を比較し、周術期管理の面から変遷の要因を検討した。 【方法】 対象 I群:10年前の肝切除症例(1984.1-86.12,n=78) II群:最近の肝切除症例(1995.1-97.12,n=79) 検索項目 1.術後病態・経過:術後経過(経口摂取・離床開始時期、術後在院日数等)、術後肝障害(高ビリルビン血症発生状況)、手術成績(手術死亡、術後合併症等) 2.変遷の要因:症例の背景(年齢、原疾患、合併肝病変、既往症、術前肝機能等)、手術因子(肝切除範囲、胆道再建の有無、アプローチ、出血量、手術時間等)、術後管理(呼吸循環、ドレーン等) 【結果】 1.術後病態・経過:最近の肝切除症例では10年前に比し、経口摂取・離床の早期開始、術後在院日数の短縮、術後肝障害度の軽減、手術死亡・術後合併症の減少等が得られ、QOLが向上した。 2.変遷の要因:(1)周術期の機能評価;肝機能検査が簡略化され、特に非肝細胞機能を術前後に測定して術後病態の評価が行われるようになった。(2)手術侵襲の軽減;術前PTPE、開胸開腹アプローチ、自己血使用、肝断部ドレーン非挿入例の増加、必要な症例を選択したカテーテル類の挿入と早期抜去等、周術期管理を工夫している。 以上の結果をもとに次年度は、肝切除患者のQOL向上に向けて、特にクリティカルケース、高ビリルビン血症例に対する看護介入を検討し、周術期看護モデルプランを作成する予定である。
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