研究概要 |
健常児をもつきょうだい関係の特徴を明らかにし、家族への援助を考察することを目的に,第一に健常きょうだいと比較を行うことにした.次に,障害児をもつきょうだいの関係の経済的変化を捉えるため承諾のもらた事例を継続して訪問することにした.第一調査では,Br0dyらの観察法を参考に遊び場面の観察から把握する. 1.対象 2才10か月から8才1か月までの障害児と健常児きょうだい13組とその対照群となる健常きょうだい群である.きょうだいが3人以上いる場合には,障害児にもっとも年齢の近いきょうだいとした. 障害児の疾患の種類は,脳性麻痺7人,片麻痺1人,ダウン症候群3人てんかんと言葉の遅れ,てんかんと片麻痺が各々1人である.障害児の平均年齢は5年4か月である. 2.観察場面の設定 一室に3×3mのマットを6枚敷き空間設定をした.きょうだいが関わっている様子を場面を30分間ビデオに撮影した. 3.分析の方法 撮影したビデオのうち遊び場面の10分間を用いた.Brodyらの分析方法と同じく10秒ごとのインターバルに分け,インターバル毎の相互作用を分析した. 4.結果 遊び場面の10分間のビデオテープを60のインターバルに分け,働きかける行動とその反応行動,単独行動、共同作業、その他の5つカテゴリーで分類し,健常きょうだい群と比較した. 1.障害児群では,障害児からの働きかける行動が18.8±SD6.86,健常きょうだいから 働きかける行動が18.31±SD11.88であった.対照群では,障害児と対応の子どもから 働きかける行動が18.46±SD10.32であり,健常きょうだいからの働きかける行動が19.15±SD10.04であった. 2.その他の大人への働きかけは,障害児群が7.63±SD9.87,健常児群が1.54±SD2.26で母平均の差の検定で有意差(P<.05)を認めた. 3.共同作業では,障害児群は2.00±SD2.38,健常児群5.38±SD4.37であり健常児群が有意に高値を示した.
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