研究課題/領域番号 |
09672393
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
看護学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小笠原 知枝 大阪大学, 医学部, 教授 (90152363)
|
研究分担者 |
久米 弥寿子 大阪大学, 医学部, 助手 (30273634)
阿曽 洋子 大阪大学, 医学部, 教授 (80127175)
大野 ゆう子 大阪大学, 医学部, 教授 (60183026)
高田 喜代子 大阪大学, 医学部, 助手 (80303973)
辻 聡子 大阪大学, 医学部, 助手 (30283782)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
キーワード | がん患者 / 疼痛 / ターミナル / 緩和ケア / 妨害因子 / 看護婦 / 医師 / 家族 |
研究概要 |
本研究の目的は、ターミナル期にあるがん患者の痛みの緩和ケアを妨害しているさまざまな諸因子を抽出し、それに対する効果的な対策を、痛みの管理やサポートケアの観点から検討することである。 そこで平成9年度には、本研究テーマに関する文献レビューとプリテストを基に、痛み管理とサポートケアを妨害するバリア測定尺度の質問紙を作成し、本学附属病院の看護婦を対象に調査を実施した。この結果と、スローンケタリングがんセンター(研究代表者ブックバインダー博士)の調査結果を比較することにより、日本の看護婦は薬物に関する知識が低く、また痛みの管理のバリアとして、「痛み管理に対する不十分な知識」、「不適切な面とアセスメント」を挙げていた。またバリア認知の背景には、日米間の文化的な相違がみられた(第22回Oncology Forumと第17回日本看護科学学会)。 平成10年度には、ターミナル期のがん患者の苦痛を明らかにするために、本大学病院の看護記録を分析した結果、主に身体的苦痛の表出が高く、ターミナル期の初期および末期において、その表出の数や内容が異なることが明らかにされた(第12回日本看護研究近畿北陸地区地方会、大阪大学看護学雑誌)。また、がん患者の痛み管理とサポートケアの妨害因子について、医師および看護婦を対象に調査を実施し分析した結果、医師の方が痛み管理に対するバリア認知は低かった。また両者ともに不適切なアセスメントを挙げていた(第29回日本看護学会・本学看護学雑誌)。 平成11年度には、がん患者やその家族が、医師や看護婦らの医療従事者に何を期待しているかを把握するために、がんで死亡した患者の家族に郵送による実態調査を実施した。その結果、「医学研究や検査よりも患者中心の治療」「分かりやすい説明」「患者への精神的支援」などを医師に期待していた。一方、看護婦には「優しく明るい態度」「患者の心理面への配慮」などが挙げられていた。 今後の課題は、本研究で得られた成果を医療従事者へフィードバックすること、またターミナル期のがん患者の痛み管理を効果的にするための教育や管理についてシステム化などの方策を関係者と検討することがである。看護婦の院内教育研修や看護学生への教育などにおいても、本研究の成果を活用してゆきたい。
|