研究概要 |
本研究は小児期にネフローゼ症候群を発症した思春期患児のセルフケア行動とその関連要因を明らかにし、子ども自身が主体者としてセルフケア行動を獲得していく過程への看護介入への示唆を得ることを目的とした。 1.研究方法 セルフケア行動は、Oremのセルフケア不足理論を枠組みとして,The Children's Self-Care Performance Questionnaire(CSPQJ.Moore、1993)を日本版に翻訳修正した36項目およびネフローゼ症候群特有のセルフケア行動16項目を作成し使用した。関連要因としては思春期患児の時間的展望(時間的態度、時間志向性)、健康状態、健康についての認識、親の依存的ケア(Dependent Care Agent Questionnaire、DCAQ,1991)を測定した。 対象者は小児期にネフローゼ症候群を発症した12歳から18歳までの外来通院中・入院中の患児とその親15組である。質問紙の信頼性・妥当性の検討と対照群を得るため、健康な中学生・高校生とその親201組である。 2.結果 思春期ネフローゼ症候群患児のセルフケア行動は年齢、自分の健康状態についての認識(健康レベルの評価、健康状態についての満足度)、健康状態(生活への支障、疲れやすさ)、時間的展望、親の依存的ケア(病気・治療につてい子どもと話し合う)との間に関連が認められた。時間的展望においては、現在・未来時間的態度が肯定的であるほどセルフケア行動が高い事が示唆された。
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